医療情報の管理について
医療情報科は、直接治療を行う診療科と異なり、診療録(カルテ)の管理や医療情報を共有し、有効活用を推進する部署です。
現在、科長(医長)、診療情報管理士4名、事務員2名の合計7名のスタッフで対応させて頂いています。
当院の理念である『良質で高度な医療を提供する』うえで、重要な意義と役割を担当しています。
実際の診療においては、診断に至った根拠、実施された診療・看護経過、結果が正確に記録されている必要があります。これらの医療情報の蓄積と整理を行うことにより、病院マネジメント上の問題点を抽出し改善に努めることで、質の高い効率的な医療を常に実践することが可能となると思います。
当院では医師、看護師、薬剤師をはじめとする多くの専門職が緊密に連携してチーム医療を行っています。有効なチーム医療を実践するためには、共有されるべき情報の質が保証されているとともに、標準化・共通化されている必要があります。
こういった医療情報は患者さんのための臨床研究、疫学調査や医療スタッフへの教育・研修のためにも重要な役割を果たしています。
医療情報は守秘性の極めて高い個人情報です。 当院では診療録管理委員会を設置し、診療情報管理室を中心にセキュリティの確保や開示請求等への対応など、適正な医療情報管理を行っています。
診療情報管理室の主な業務
1 診療録(カルテ)の適正な保管・管理・監査
当院は電子カルテを採用しています。カルテには患者さんの病状、治療・看護の経過や検査結果、今後の治療方針や説明の内容などたくさんの情報が含まれています。これらの診療情報は患者さんの診療・診断に役立つだけではなく、今後の治療のための研究資料や医療スタッフを育成するための教育資料としても有用です。診療情報管理室では、電子カルテの記録や文書の保管状態について点検を行い、診療情報の価値を担保できるものとなるよう精度向上に努めています。
2 医療の質、地域医療連携、病院経営等に資する統計分析
電子カルテから患者さんの入退院時情報や主要な診断名、手術情報等の抽出、分類を行い、データベース化し、各種統計分析に活用しています。また近年、DPC制度が全国の医療機関に導入され、医療の標準化・効率性が目に見えるようになりました。診療情報管理室ではこのようなデータを活用して医療の質向上と病院経営の健全化に資する統計分析を行っています。
3 院内がん登録
当院は宮崎県の地域がん診療拠点病院に指定されています。がん医療の質向上のために、院内がん登録を行っており、これらの蓄積データを国立がん研究センターが実施する全国集計にも提供しています。この活動により、専門的ながん医療を提供する医療機関の特徴が明らかとなり、がん患者自らが医療機関の選択をする際の評価指標となることが期待されます。さらに行政によるがん対策の充実に結びつくことになります。また2016年より、がん登録部会QI研究活動に参加し、自院のがん診療向上と日本のがん対策への貢献に取り組んでいます。
退職者及び第三者による診療情報閲覧申請の手引
この「手引」は、宮崎県立宮崎病院が保有する診療情報を閲覧するための申請についての具体的な方法と、特に留意すべき事項等をまとめたものです。
個人情報を取扱いますので、実際の申請に当たっては、関係法令や通知等を十分理解の上、手続きしてください。
不明な点がありましたら、診療情報管理室又は医療情報科に照会してください。
I 申請者の資格
- 宮崎県立宮崎病院で就業歴のある方。
- 在職者および退職者と共同研究を行う方であって、当院の倫理審査委員会から承認を受けた書類に、研究者として記名されている方であれば申請自体は可能です。
この場合の許可については「院長が特別に認める場合」の取扱いになります。(個人情報の利用へ配慮は必須) - モニタリング・監査等に従事される方であって、当院の倫理審査委員会又は治験審査委員会において承認を受けた臨床研究、治験に係るモニタリング・監査等の実施を目的とする場合。
II 閲覧が許可される期間、許可される診療情報の範囲
原則、申請をして許可を受けた当日のみ、閲覧が可能となります。但し、モニタリング・ 監査等を実施する場合は利用許可を受けた期間のみとなります。閲覧終了後、アクセスログの確認をします。不当なアクセス(関連のない患者情報の閲覧など)があった場合は次回からの申請をお断りすることがあります。
III 申請に必要な書類
「様式 1」「様式 2」の2点があります。いずれも当院のホームページから ダウンロードできますが、当日に2階 医事課もしくは診療情報管理室で入手可能です。
- 申請者が①と②の場合は様式1を診療情報管理室まで提出してください。
また、共同研究者の場合は当院の倫理審査の承認通知のコピーの添付も必要です。 - 申請者が③の場合は「様式2」を治験事務局まで提出してください。
※写真付きの身分証明書(運転免許証やパスポート等)にてご本人の確認をさせていただき、写しをとらせていただきます。
様式1 診療情報の閲覧許可願
当院の保有する個人情報の第三者提供 について、許可を得るための様式です。
様式2 診療情報の閲覧申請
モニタリング・監査に従事される方が、診療情報を閲覧する際の様式です。
IV 申請の手順
<申請者が①宮崎県立宮崎病院で就業歴のある方、②共同研究者の場合>の場合>
(1)当院2階 医事課あてに連絡してください。この時点で閲覧する情報が定まっていない場合は、医事課に相談してください。医事課で申請資格の確認や、手続きについて説明します。
(2)当該診療科の責任範囲の診療情報閲覧について「様式 1」にて申請を行い、院長、診療情報科長等の許可を得ます。
(3)「様式 1」で、決裁が下りたら診療情報管理室で閲覧環境を提供します。
<申請者が③モニタリング・監査等に従事される方の場合>
(1) 当院治験事務局あてに連絡してください。その際、直接閲覧実施連絡票も合わせて提出してください。
治験事務局にて申請資格の確認を行い、必要に応じて手続きについて説明します。
V 閲覧における諸注意
閲覧をする場所
<申請者が①宮崎県立宮崎病院で就業歴のある方、②共同研究者の場合>
診療情報管理室内で閲覧していただきます。
<申請者が③モニタリング・監査等に従事される方の場合>
治験管理室で閲覧していただきます。
(※リモートによる閲覧を実施する場合は、必ず実施手順書を提示し、双方合意の上、その通りに実施すること。)
<その他>
- ノート、資料を広げられるワークスペースが利用できます。
- 携帯電話、デジタルカメラ等での撮影、記録は禁止します。
- 使用範囲・申請した利用目的以外に使用しない。必要最低限の閲覧とする。
- パソコン等の機器は丁寧に取り扱い、パソコンへのソフトウエアを追加導入や、外部から持ち込んだ機器(USB メモリ、SD カード、デジタル撮影機器、スマートフォン等)の当院のネットワークへの接続はできません。
- レポート作成等の作業は、出来ません。
閲覧及び申請の可能な時間
<申請者が①宮崎県立宮崎病院で就業歴のある方、②共同研究者の場合>
医事課及び診療情報管理室の勤務時間内が受付・閲覧時間ですので、
月~金の8:15〜17:15です。
原則、17:15を過ぎると診療情報管理室は施錠します。
<申請者が③モニタリング・監査等に従事される方の場合>
原則として、平日の8:30〜17:00となります。
時間に余裕をもった来院をお願いします。
Ⅵ 認定医の申請等で、診療情報を持ち出す必要がある場合
患者さんの個人情報の消去(マスキング)は、情報開示データ作成マニュアルに従 って、原則、申請者自身が行っていただきます。(その後、診療情報管理士が内容のチェックを行います。)
診療情報管理室で、閲覧者毎に持ち出す診療情報を管理します。後日、追加で収集すべき情報があった場合などにも、同一症例を閲覧していただくことが可能です。(新たに閲覧申請が必要です。)
電子媒体での提供は、個人情報を全て消去したうえで、AES128bit 以上の暗号化強度をもつ方法によって暗号化します。ご自身の端末で取扱う前にパスワードを入力し、復号化してください。(パスワードは診療情報管理室から併せて提供します。) また、「電子媒体で診療情報を電子カルテのネットワークから取り出す(コピーする)」 行為についての申請が別途必要になりますので、お声かけ下さい。
データのお渡しは、原則後日(約2週間後)となります。
※モニタリング・監査等の場合、上記対応は不可ですので、ご了承ください。
VII よくある質問
質問 | 回答 |
---|---|
医師事務作業補助者(当院の通称:秘書)に、申請を代行してもらうことかができますか。 | 許可していません。代理申請は受け付け時点でお断りします。 |
あらかじめ申請し、後日に閲覧することはできますか。 | できません。申請をもって許可を得た当日のみの閲覧となります。 |
申請に行く当日に副院長や診療科長の署名を得られない場合 は閲覧できないのでしょうか。 | 権限者が一人も在院していない場合は閲覧できません。あらかじめアポイントをとっての来院をお願いします。 |
夜間や、休日に閲覧することはできないのでしょうか。 | 許可を受けた当日のみが閲覧期間となります。権限者および診療情報管理室の勤務時間以外の時間は対応できません。 |
USB メモリなど、自身の可搬型外部記憶媒体を使用することはできますか。 | 許可していません。書き出しには制限をかけています。 必要な場合は、別途データ持ち出し申請書を提出してください。 |
在職中に未作成だった退院時要約などを作成するために申請できますか。 | 可能です。ただし、アクセスログより、別の目的での情報収集などが行われている場合は今後の申請が制限される可能性があります。 |