宮崎県立宮崎病院 - Miyazaki Prefectural Miyazaki Hospital

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ANCA関連血管炎および結節性多発動脈炎患者の治療法および予後に関する調査研究

2024.03.22

1. 臨床研究について

 宮崎県立宮崎病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学大学院医学研究院病態修復内科では、現在ANCA 関連血管炎および結節性多発動脈炎の患者さんを対象として、その治療法と予後に関する「臨床研究」を行っています。

 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和8年3月31日までです。

2. 研究の目的や意義について

 血管炎は血管に炎症がおこることによって、発熱、倦怠感などの全身症状や皮膚、肺、腎、神経などの各臓器に障害をひきおこす病気です。ANCA関連血管炎は自己抗体である抗好中球細胞質抗体(anti- neutrophil cytoplasmic antibody : ANCA)陽性を特徴とする小さな血管に炎症をおこす疾患の総称で、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の3つの疾患が含まれます。また結節性多発動脈炎はANCA関連血管炎よりも大きな動脈(中小動脈)に炎症をおこす疾患です。臓器障害をひきおこさないために、早期に診断し適切な治療をすることが重要です。
 診断が確定すると、炎症や自己免疫を抑えるためにステロイドと免疫抑制剤を併用した治療が行われます。免疫抑制剤としては、シクロフォスファミド、メトトレキサート、アザチオプリンなどが使用されますが、近年では生物学的製剤であるリツキシマブのANCA関連血管炎に対する有用性が証明され、本邦でも保険承認されています。現在の治療法の有効性は証明されていますが、副作用も少なからず認め、治療法のさらなる改善が求められています。
 現行の血管炎の診断と治療は主に欧米の研究を元にして行われています。どの血管炎が多いか、ANCAの種類、好発年齢などは本邦と欧米で異なっています。今回の研究では、血管炎の各疾患に対して行われる治療法および予後を複数の施設で調査し、本邦における血管炎診療の実態をより明らかにすることを目的としています。本研究を行うことで、より効果的で副作用の少ない最適な治療法の確立につながることを期待しています。

3. 研究の対象者について

 2012年1月1日から2026年3月31日までの期間にANCA 関連血管炎または結節性多発動脈炎と診断された、宮崎県立宮崎病院内科に入院または通院されている患者さんを対象とさせていただく予定です。原則、研究の同意をもって研究に参加していただきますが、後に振り返って情報を収集する患者で転院や死亡など、同意を取得することが困難な場合には、研究実施に関する情報を公開し、異議を受け付けることで同意と代えさせていただいております。研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

4. 研究の方法について

 この研究への参加に同意いただきましたら、カルテより以下の情報を取得します。また発症時および増悪時に通常診療での採血に追加して、研究用の血液を5ml余分に採血させていただきます。採取した血液を用いて、血清サイトカイン濃度、1型インターフェロン誘導能、好中球細胞外トラップ誘導能を測定します。

[取得する情報]

年齢、性別、診断名、重症度、症状出現日時、診断確定日時、喫煙歴、合併症、悪性腫瘍の有無、病理学的所見、画像所見(副鼻腔CT・胸部CT)、患者活動度、臓器障害の分布(BVAS)、血液検査結果(血清C 反応性蛋白、血清クレアチニン、ANCA)

 皆様の臨床データは匿名化されインターネット上の厳重なセキュリティ管理の下でデータベースに保存され、解析を行います。また血液および画像についても当科および佐賀大学医学部 膠原病・リウマチ内科で解析を行う予定です。

5. 研究に関する利益と予測される負担や不利益について

 本研究において行われる治療は、日常保険診療として行なわれる治療であり、研究に参加される患者さんの診療費は、日常診療と同様です。本研究に参加することにより直接受ける診療上、経済上の利益はありません。また、日常診療の採血時に研究のための血液を5ml 追加で採取させていただく以外に負担や不利益が生じることはありません。

6. 健康被害が発生した場合の対応について

 この研究では、あなたに通常の治療に使用するお薬以外のお薬を使ったり、特別な医療機器による検査をしたりすることはありませんので、健康被害が発生することはないと考えられることから、特別な補償制度はありません。
 採血の際に研究のために採らせていただく血液の量も健康上問題のない量と考えておりますが、もし、採血の際にめまいがしたり、気分が悪くなったりした場合は、すぐに採血を中止し、担当医師が適切に対応いたします。

7. 経済的な負担や謝礼について

 あなたに通常の治療費以外に新たな負担を求めることはありません。
 また、あなたに謝礼をお渡しすることもありません。

8. 研究への参加とその撤回について

 この研究への参加はあなたの自由な意思で決めてください。同意されなくても、あなたの診断や治療に不利益になることは全くありません。
 また、いったん同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、いつでも同意を取り消すことができます。その場合は、研究用に採取した血液やその血液を調べた結果などは廃棄され、取得した情報もそれ以降はこの研究目的に用いられることはありません。
ただし、同意を取り消した時にすでに研究結果が論文などで公表されていた場合には、完全に廃棄できないことがあります。

9. 個人情報の取扱いについて

 あなたの血液、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、宮崎県立宮崎病院内科内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
あなたの血液、画像情報を佐賀大学医学部 膠原病・リウマチ内科もしくは放射線科へ郵送する際には、九州大学にて上記のような処理をした後に行いますので、あなたを特定できる情報が外部に送られることはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学医学研究院病態修復内科学・教授・赤司 浩一の責任の下、厳重な管理を行います。

10. 試料や情報の保管等について

〔試料について〕

 この研究において得られたあなたの血液は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、医学研究院病態修復内科学・教授・赤司浩一ならびに佐賀大学医学部膠原病・リウマチ内科・診療教授・多田芳史の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

〔情報について〕

 この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、医学研究院病態修復内科学・教授・赤司浩一の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 またこの研究で得られたあなたの血液や測定結果、カルテの情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、あなたの同意がいただけるならば、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

11. この研究の費用について

この研究の実施に必要な費用は、委任経理金でまかなわれます。

12. 利益相反について

 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は委任経理金であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。

  • 利益相反マネジメント委員会
    (窓口:九州大学ARO 次世代医療センター 電話:092-642-5774)

13. 研究に関する情報公開の方法について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。
 また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。

14. 特許権等について

 この研究の結果として、特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は九州大学及び共同研究機関等に属し、あなたには属しません。また、その特許権等を元にして経済的利益が生じる可能性がありますが、これについてもあなたに権利はありません。

15. 研究を中止する場合について

 研究責任者の判断により、研究を中止しなければならない何らかの事情が発生した場合には、この研究を中止する場合があります。なお、研究中止後もこの研究に関するお問い合わせ等には誠意をもって対応します。

16. 研究の実施体制について〔研究計画書2.実施体制〕

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所(分野名等)

  • 九州大学大学院医学研究院 病態修復内科学
    (免疫・膠原病・感染症内科)

研究責任者

  • 九州大学病院 免疫・膠原病・感染症内科 助教 小野 伸之

研究分担者

  • 九州大学大学院医学研究院 医学教育学講座 教授 新納 宏昭
  • 九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学分野 教授 石神 康生
  • 九州大学病院別府病院 内科 教授 堀内 孝彦
  • 九州大学病院 免疫・膠原病・感染症内科 講師 有信 洋二郎
  • 九州大学病院別府病院 内科 講師 三苫 弘喜
  • 九州大学病院 免疫・膠原病・感染症内科 助教 木本 泰孝
  • 九州大学大学院医学研究院 応用幹細胞医科学部門 助教 綾野 雅宏

共同研究施設

共同研究施設名 / 研究責任者の職名・氏名 役割
①佐賀大学医学部 膠原病・リウマチ内科 /診療教授 多田 芳史 試料・情報の収集、解析
② 佐賀大学医学部 放射線科 / 助教 江頭 玲子 試料の解析試料・情報の収集
③ 福岡大学医学部 腎臓・膠原病内科 / 准教授 三宅 勝久
④ 飯塚病院 膠原病・リウマチ内科 / 部長 内野 愛弓
⑤ 唐津済生会病院 内科 / 副院長 千布 裕
⑥ 北九州市立医療センター 膠原病内科 /主任部長 西坂 浩明
⑦ 宮崎県立宮崎病院 内科 / 医長 上田 尚靖
⑧ 国立病院機構九州医療センター 膠原病内科 / 科長 宮村 知也
⑨ 国立病院機構福岡病院 リウマチ科 /医長 吉澤 滋
⑩ 九州鉄道記念病院 内科 / 部長 古郷 功
⑪ 下関市立市民病院 リウマチ・膠原病内科 / 医長 大田 俊一郎
⑫ 浜の町病院 リウマチ膠原病内科 /部長 吉澤 誠司
⑬ 広島赤十字・原爆病院 リウマチ科 /部長 澤部 琢哉
⑭ 福岡赤十字病院 膠原病内科 / 部長 井上 靖
⑮ 松山赤十字病院 リウマチ科 / 医師 三嶋 耕司
⑯ 福岡中央病院 リウマチ科 / 科長 永野 修司

17. 相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

事務局(相談窓口)

  • 担当者:担当者:宮崎県立宮崎病院内科 医長 上田尚靖
    連絡先:〔TEL〕0985-24-4181
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