小児科研修を終えて
6~7月の2ヵ月間、小児科で研修させて頂いた研修医2年目の森隆之です。小児科を回る前は、外科(3ヵ月)・麻酔科(3ヵ月)・内科(6ヵ月)・産婦人科(2ヵ月)を回りました。子どもの診察はほとんど経験がなく(産婦人科での新生児診察くらい…)、最後の最後まで本当に緊張の連続でした。
小児科では指導医の先生1名に張り付いて研修し、入院患児をはじめ、外来診察・時間外小児待機(1ヵ月に6日程度)などを行う機会がありました。
病棟では、子どもの死、重篤な肺出血から回復し元気な笑顔を見せてくれた児、著明な全身黄疸があり移植まで考慮しながら慎重に経過をみた急性肝炎の児、SSPEの診断で治療中の児など、貴重な経験を数多くすることができました。外来では、不安を抱えた両親を前に問診や診察、検査結果説明、今後の治療方針についての説明。時間外小児待機では、緊急性のないprimary疾患から、肺出血・髄膜炎など予断を許さない疾患まで幅広く経験することができました。
どれをとっても初めての経験が多く、2ヵ月間があっという間に過ぎていった印象です。
小児科Drをはじめ、外来・病棟スタッフともに暖かい雰囲気があり、分らないことがあれば気軽に質問することが出来ます。
何科に進むにせよここでの研修は絶対に将来の役に立つと思います。忙しかった2ヵ月間でしたが、子どもの頑張っている姿や指導医の先生の姿に後押しされながら頑張れた研修期間でした。
西口先生、弓削先生をはじめ小児科のスタッフの皆様大変お世話になりました。
指導医からのメッセージ
森隆之先生には梅雨明けから初夏にかけての2か月間で小児科研修をしていただきました。
小児科診療は一般に感染症が大きなウェイトを占めており、それぞれのシーズンで流行する疾患にある程度の傾向があることが多いです。このために僕ら小児科医は、いろんな感染症の子を診察して、「もうこんな時期かあ」と1年の中での季節の移り変わりを感じています。
森先生が研修をされた時期は例年だと、冬場に流行するRSウイルス・インフルエンザなどの呼吸器感染症やロタウイルスなどの消化器感染症がだいたい一段落してきて外来・入院ともに患者さんの人数が減るころでした。
このため、ためになるような研修が提供できるか心配で手持ちぶさたにすごさせてしまうのではないかと懸念をしていました。
しかし、それはまったくの杞憂に終わりました・・・・・
当科全体でも年に1人おられるかどうかというような疾患や重症な病態の患者さんがなぜか続々と来られる状態で僕ら自身もぐったりする忙しさでした。
その中でいわゆるかぜ診療も含めての一次診療も経験していただけたと思います。
小児は自分で状態を訴えることが十分にできないため、周囲の方の心配も大きく、また見落としにつながる大きな危険性が全ての患者さんにあります。 大人同様の検査はなかなかできず診療には五感をとぎすます必要がありますが、不安を和らげるための心配りもまた必要でいろんな意味でのバランスを保つことが望ましいと思います。
短い期間だったのでよい研修が提供できたか自信はありませんが、小児科特有の診療の雰囲気や診療する喜びを感じてもらえているとうれしい限りです。