放射線治療は手術、薬物療法(抗がん剤治療)と並んでがん治療の三本柱の一つです。放射線治療の主な目的は、腫瘍に線量を集中させ、周囲の正常組織への線量を極力低減させて、がんを根治したり、症状を緩和することです。
当院では、高エネルギー放射線治療装置(リニアック)を使用して体の外側から治療を行う外部照射と密封小線源治療装置を使用して体の内側から治療を行う内部照射(腔内照射)による放射線治療を実施しています。
IGRT(Image-Guided Radiotherapy 画像誘導放射線治療)
小さな病巣に放射線をあてる場合や、正常組織にがんが隣接している場合は、患者の位置決め(セットアップ)が非常に大切です。そこで、リニアックに搭載された診断用X線装置を用いて、照射開始直前に治療台にて、CT画像(CBCT:Cone-Beam Computed Tomography)を撮影し、基準となる治療計画CT画像と位置照合を行います。
治療する部位の位置ずれ量を求め、治療寝台の位置補正を行うことで、ミリ単位での正確な位置合わせができます。
体表面光学式トラッキングシステム(Surface IGRTシステム:Catalyst)
可視光を用いて体表面画像を取得し、患者さんの体表面をモニタリングすることができます。放射線を使用しないので、被ばくを考慮する必要はありません。照射中の体の表面をモニタリングすることにより、患者さんの急な動きも感知し、設定範囲から外れた場合は、放射線の照射を
停止させます。
これまで以上に安心・安全な放射線治療が可能となります。また、体の表面のマークでの位置あわせだけではなく、治療計画時のCT画像の輪郭と治療時の体の表面のライブ画像を比較したセットアップのサポートが可能となります。
イリジウム-192を用いた小線源治療
粒状の小さな放射性物質イリジウム-192を用いた腔内照射を実施しています。主に、子宮頸がんを対象としており、あらかじめ子宮腔内に器具を挿入し、その内部に小線源を一時的に配置する治療法です。スタッフの被ばくを防止するために、遠隔で小線源を操作することから、ラルス(RALS:Remote After Loading System)と呼ばれています。
CT画像にて三次元治療計画(画像誘導密封小線源治療:IGBT)を行っています。三次元治療計画では、CT画像から線源と病巣および正常臓器の位置関係を三次元的に把握できるため、線量を正確に評価することができます。
治療装置とCT装置が同室に設置されているため、器具の挿入、CT撮影、三次元計画、照射等の一連の手技が同一の部屋で可能となり、より安全な治療を提供することができます。
放射線治療を受ける方へ
放射線治療は、月曜日から金曜日の週5日の治療が原則で、土日祝日はお休みです。治療期間は、2週間から7週間程度で、外部照射は1回10分から15分ほどで終了します。