宮崎県立宮崎病院

外科の紹介

外科の紹介


外科主任部長
上田 祐滋

当院は、平成15年8月より厚生労働省より<地域がん診療拠点病院>に指定されました。がん患者様の増加に対応するために、平成19年1月より病棟再編を行い<がん治療センター>を立ち上げました。現在、当院の入院患者様の約22%が悪性疾患であり、昨今の高齢化にともない各種合併疾患を持つ進行癌の方が増加傾向にあります。ちなみに当院外科では、平成30年度に一般外科、消化器外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科、外傷外科、小児外科、腎移植など計964例の手術を行っており、その半数以上は悪性疾患となっております。なかでも乳癌、肺癌、大腸癌の手術症例数は、近年増加傾向にあります。当科では、各分野の専門医を中心に臓器別チーム医療を実践しており、毎週火・木・金曜日には、外科、内科、放射線科、腫瘍内科、病理診断科を交えた合同キャンサーボードを開催し全症例を詳細に検討し、各種がん治療ガイドラインにそって治療方針を決定しております。当科の診療目標は、“安全、確実で愛護的な手術と科学的根拠に基づいた先進医療の実践”であります。当然のことながら、術後補助療法や経過観察は各主治医が責任を持ち、患者様の在宅医療、通院治療の充実と利便性向上のために県内全域の医療機関との病診連携体制を取っております。

(文責:上田)

乳腺グループ(大友部長)

乳腺グループは、日本乳癌学会乳腺専門医の大友直樹、池田奈央子、牧野裕子、植田雄一の4名と、がん薬物療法専門医 片寄恵子の計5名と充実したスタッフでグループ診療を行っており、日本乳癌学会の認定施設でもあります。2017年度は243例の乳癌手術が施行され九州でも有数の施設です。手術の内訳は、乳房温存手術46%、乳房切除術47%、乳房切除術+乳房再建7%で、乳房温存手術が減少した一方、乳房再建手術が増加する傾向にありました。以前は乳房再建には100万円近くの自己負担が必要で、費用の問題であきらめていた患者さんもいらっしゃいましたが、2013年9月にシリコンインプラントによる乳房再建が保険適応になってからは全国的にも乳房再建手術が増えてきています。当院も2014年2月乳房再建用エキスパンダー実施施設として日本オンコプラスティックサージェリー学会の施設認定を受け乳房再建に公的保険を使う事ができるようになりました。また、乳腺内視鏡手術で有名な亀田総合病院で8年間修練を積んできた池田が帰って来てからは、内視鏡を用いた小さな創で行う乳房再建手術も行えるようになっています。新患日は月火木金曜日です。乳癌の専門家として再発、進行乳癌、セカンドオピニオン等も積極的に受け入れております。

呼吸器グループ(別府部長)

呼吸器外科領域では、原発性肺癌や転移性肺癌などの肺悪性腫瘍をはじめ、肺良性腫瘍、縦隔腫瘍、気管腫瘍、胸膜・胸壁腫瘍、気胸、巨大肺嚢胞、膿胸、炎症性肺疾患、先天性肺異常など幅広い疾患に対して、呼吸器外科専門医を中心に診療を行っています。2016年1年間の手術件数では、116例の肺癌症例を含む総数151例の手術を施行し、その件数は年々増加しております。手術においては積極的に胸腔鏡を導入し、80%以上は胸腔鏡下に手術を行っています。例えば、肺癌に対する肺葉切除では通常4~5cmほどの小開胸創と1~2cmの操作孔2か所で行い、肋骨切離は行わず、開胸器も使用しません。また、縦隔腫瘍や気胸においても0.5~2cmの操作孔3か所で手術を行っています。ただ、手術の安全性と確実性を重視する観点から、胸腔鏡手術の適応については一例ごと慎重に術前評価しております。一方、周囲組織へ浸潤する腫瘍に対しても、浸潤臓器を合併切除することによって積極的に治癒切除を行っています。当院では呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科、病理検査科の各専門医が参加する合同カンファレンスを週1回定期的に行っており、症例ごとに手術適応の評価、病理検査結果の考察、抗癌剤治療や放射線治療による術後補助療法の適応などについて詳細に検討しています。当科ではこのような各診療科の密な連携によって、より質の高い診療を目指しています。

上部消化管グループ(日高部長)

当院の上部消化管の外科治療としては、食道癌、胃癌、GISTなどの悪性腫瘍に対する手術症例が多く、他に食道裂孔ヘルニアや胃食道逆流症などの良性疾患、特発性食道破裂や胃・十二指腸潰瘍穿孔に対する緊急手術など、多様な疾患を手がけております。食道癌に対する食道亜全摘術は侵襲が大きく、難度の高い手術でありますが、当院では胸腔鏡下手術を導入し、低侵襲な方法で安全に手術を行っています。胃癌に対しても、主に早期癌に対しては腹腔鏡下胃切除術や腹腔鏡下胃全摘術を行っており、進行癌の場合には術前または術後の化学療法を併用して治療成績の向上に努めています。切除不能と診断された場合には、他の治療法(化学療法や放射線療法など)について提示し、QOLを向上させるためにあらゆる手段を駆使します。また、胃穿孔や十二指腸穿孔により腹膜炎を来した場合などの緊急手術にも24時間対応可能です。当院は宮崎県の基幹病院であり、さらにがん治療の拠点病院であるため、県内の様々な医療機関から多数の患者紹介を頂いております。近年は高齢化のため複数の合併疾患を有するリスクの高い患者様が増加してきましたが、質の高い手術ときめ細かい周術期管理を徹底し、多くの患者様に満足のいく医療を提供していると自負しております。セカンドオピニオンにも対応致しておりますので、対象の患者様やそのご親族の方は当院へ御相談ください。

下部消化管グループ(中村部長)

下部消化管領域では、結腸癌50~60例、直腸癌20~30例と大腸癌手術を年間70~90例程度行い、手術件数は年々増加しています。そのほか、大腸穿孔腹膜炎や腸閉塞などの緊急手術例などをあわせると年間100例を超える手術を行っています。手術は侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に導入していますが、癌が非常に進行した方や緊急手術など通常の開腹手術が必要な方も多いため、腹腔鏡手術の割合は約半分です。進行した直腸癌では骨盤内臓全摘術や側方郭清などの拡大手術のほかに、術前化学放射線治療を導入し症例に応じて適切に治療を行っています。また従来であれば人工肛門造設術が必要な腸閉塞を伴う進行大腸癌に対しては、大腸ステントを留置することで人工肛門を回避し全身状態を整えて、精密検査を行ってから根治手術を行っています。近年、高齢化に伴い血液透析や重篤な合併症などのために濃厚な全身管理が必要な方々が増えており、日々一丸となって手術や週術期管理に臨んでいます。

肝胆膵グループ(大内田部長)

当グループでは肝臓、胆道(胆嚢・胆管・乳頭部)、膵臓、脾臓の良悪性疾患に対する検査、治療を専門的に行っています。
肝悪性腫瘍に対しては肝切除術を中心に、マイクロターゼ凝固療法やラジオ波焼灼術なども駆使して根治を目指しています。再発例に対しても可能な限り切除を目指し、切除困難例には肝動脈塞栓療法、肝動脈内抗癌剤注入療法などを状況に応じて行っています。
胆道癌、膵臓癌は外科的切除が唯一根治を望める治療法であるため、積極的に切除を行い、広範囲に進展した場合でも拡大手術や血管合併切除などを駆使して根治を目指しています。ただし、侵襲の大きな手術となるため、手術適応に関しては厳密に検討し、超音波内視鏡(EUS)、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)による進展度・深達度診断、生検や細胞診による確定診断を行い、過不足の無い治療を行っています。近年術前・術後補助療法により治療成績が向上しており、当院でも化学療法を中心とした補助療法を導入し、胆道癌、膵臓癌の予後改善を目指しています。また、膵仮性嚢胞に対する超音波内視鏡下経消化管的嚢胞ドレナージ術(EUS-CD)や急性胆管炎・胆嚢炎に対する内視鏡的あるいは経皮経肝胆道ドレナージ術(ENBD、EBD、PTBD、PTGBD など)による緊急対応も常時行 っています。 
肝胆膵疾患が疑われる症例、診断・治療に難渋する症例などいつでもご紹介ください。また、緊急処置が必要な症例に対しては直接ご連絡をいただければ迅速に対応させていただきますのでいつでもご相談ください。 

腎移植グループ(寺坂医長)

当院は1988年に第一例の生体腎移植を施行し、以後2019年3月までに生体腎移植75例、献腎移植18例(計93例)を行ってまいりました。
複数名の移植学会認定医、臨床腎移植学会認定医が常勤し、日本有数の腎移植施設である九州大学病院と密に連携した最新の診療を行っていることも特徴です。近年では夫婦間などの非血縁間の移植や血液型不適合移植、透析導入前の腎移植も通常通り行うことができるため、多くの腎不全患者さんのニーズに応えられる体制が整っています。
腎移植前にはドナー、レシピエントともに様々な検査を受けて頂く必要がありますが、大きな問題がなければ初回受診から概ね3ヶ月以内に検査を終え、移植の準備が整います。
ドナーの手術は腹腔鏡を用いて行います。手術時間は3時間前後です。腹腔鏡手術は傷が小さく、術後の回復が早いというメリットがあります。手術後1週間で退院し、退院後は手術前とほぼ同じ生活が可能です。レシピエントの手術時間も3時間前後です。多くの場合手術直後より透析は不要となり、術後約2週間で退院可能となります。また術後1~3ヶ月で社会復帰が可能です。退院後も定期的に外来に通院して頂き、移植した腎臓が1日でも長く良好に機能するよう経過を診させていただきます。
腎不全で血液透析や腹膜透析が必要になると、時間的拘束に加えて食事制限、水分制限など、生活に大きな制約が生じます。多くの場合従来の仕事を続けることや、旅行をすることなども困難になります。移植を行うことで、これらの制限の大部分から解放されます。また、透析に伴う合併症を防ぐことができるため、生命予後(寿命)にも良い影響を与えます。
ドナーになる方がいて、移植を受けることを希望し、全身麻酔手術に耐えられる方であれば、ほぼすべての腎不全患者さんが移植の対象となりえます。
移植について詳しく知りたい方、移植が受けられるかどうか相談したい方はいつでもお気軽にご連絡下さい。

県立宮崎病院 外科外来 0985-24-4181(内線2140)

臨床研究に関するお知らせ

宮崎県立宮崎病院外科では、下記の臨床研究を実施しています。皆様には本研究の趣旨をご理解頂き、ご協力を承りますようお願い申し上げます。


研究課題名進行・再発乳癌に対するエリブリンメシル酸塩の有効性に関する後方視的観察研究

1. 研究の概要

エリブリンメシル酸塩(以下、エリブリン)は、2011年に承認を受けた日本生まれの比較的新しい抗がん剤です。微小管という細胞内組織の働きを妨げることにより、細胞分裂を停止させ、がん細胞の増殖を抑制します。進行・再発乳癌に使用されており、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む化学療法を既に受けた患者さんに使用され、単剤で生存期間を延長できることが分かっています。今回、エリブリンを使用した経験がある方を対象に、その臨床的特徴や経過を過去の診療録(カルテ)からデータを抽出し解析することといたしました。

2. 目的

進行・再発乳癌対するエリブリンの実臨床における有効性について、当院で投与した症例に対して後方視的調査を行い、全生存期間の延長等の治療効果に寄与する因子を検討しました。

3. 対象者

2011年4月1日から2018年12月31日に当院でエリブリンを使用した、進行・再発乳癌の方が対象となります。

4. 方法

対象となる方のカルテ情報から、年齢、性別、発症時の状況、予後、画像や血液検査の結果、施行された治療等などの情報を利用させて頂き、情報の解析を行います。

5. 費用負担

この研究を行うあたり、対象となる方が新たに費用を負担することは一切ありません。

6. 利益及び不利益

この研究にご参加いただいた場合の利益・不利益はありません。参加を拒否された場合でも同様です。

7. 個人情報の保護

研究にあたっては、対象となる方の個人を同定できる情報は一切使用しません。

8. 研究成果の公表

この研究で得られた研究成果を学会や医学雑誌等において発表します。この場合でも個人を特定できる情報は一切利用しません。

9. 参加拒否したい場合の連絡先

この研究に参加したくない(自分のデータを使ってほしくない)方は下記連絡先へ遠慮無く申し出てください。また、参加拒否をしたい場合は2019年3月31日までに申し出てください。

10. 疑問や質問があった場合の連絡先

この研究に関して疑問や質問があった場合は下記連絡先へ遠慮無く連絡をお願いいたします。

連絡先

宮崎県立宮崎病院 外科 医師 植田 雄一
外科外来 0985-24-4181 (代表)


研究課題名大動脈遮断バルン使用時の遮断時間に関する後方視的観察研究

1. 研究の概要

 大動脈遮断バルンは,大量腹腔内出血等による出血性ショックの一時的な蘇生処置や,大量腹腔内出血が予想される手術時の術中出血コントロールとして用いられます.大動脈血流を遮断することで出血はコントロールできますが,その間臓器虚血に陥るため遮断時間が長くなると様々な弊害を生じ得ます.そこで当院で大動脈遮断が施行された症例を後方視的に検討し,大動脈遮断時間と合併症等の関係を検討します。

2. 目的

 大動脈遮断時間と虚血再灌流等による合併症の有無や入院期間,転帰などを,診療録をもとに後方視的調査を行い、それらの関係を検討します。

3. 対象者

2014年4月から2018年10月までに当院で大動脈遮断バルンを挿入した31例の方が対象です。

4. 方法

 対象となる方のカルテ情報から、年齢、性別、挿入時の状況、合併症、予後、血液検査などの情報を利用させて頂き、情報の解析を行います。

5. 費用負担

 この研究を行うあたり、対象となる方が新たに費用を負担することは一切ありません。

6. 利益及び不利益

 この研究にご参加いただいた場合の利益・不利益はありません。参加を拒否された場合でも同様です。

7. 個人情報の保護

 研究にあたっては、対象となる方の個人を同定できる情報は一切使用しません。

8. 研究成果の公表

 この研究で得られた研究成果を学会や医学雑誌等において発表します。この場合でも個人を特定できる情報は一切利用しません。

9. 参加拒否したい場合の連絡先

 この研究に参加したくない(自分のデータを使ってほしくない)方は下記連絡先へ申し出てください。

10. 疑問や質問があった場合の連絡先

 この研究に関して疑問や質問があった場合は下記連絡先へ遠慮無く連絡をお願いいたします。

連絡先

宮崎県立宮崎病院 外科 医師 中村 豪
外科外来 0985-24-4181 (代表)

お問い合わせ:電話0985-24-4181
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