宮崎県立宮崎病院

広報誌:県病院から こんにちは

2015 第26号

更新日:2015年4月 7日

ドクターカーが走り始めて1年経過しました

県立宮崎病院救命救急科 長嶺 育弘

 ドクターカーとは、「医師と看護師を乗せ,救急車とのドッキングポイントや救急現場へ向かう医療機器を搭載した専用車」のことを示します。

 平成20年に道路交通法が一部改正され,認可を受ければ普通乗用車であっても赤色灯を搭載し緊急走行することが可能になり、全国的に導入する病院が増加しました。当院でも平成23年頃から準備を始め、普通乗用車のドクターカーを導入し、平成26年4月14日より運行を開始(平日日勤帯のみ)しました。
ドクターカー

 ドクターカーは、県民の皆様が119番通報され、連絡を
受けられた消防職員および救急隊員の方々が「重症」でド
クターカーが必要だと判断された場合に、消防機関から要
請を頂き出動します。ドクターカーには、医師1名、看護師
1名、救命士1名(2014年度体制)が搭乗しており、現場または現場近くの救急車まで駆けつけ、その場から診療を行います。県立宮崎病院のドクターカーは救急車型ではないため、患者様を搬送することはできません。そのため、治療が終わった後に、要請を頂いた消防の救急車に患者様と一緒に乗り込んで搬送を行います。

救急車、ドクターヘリ

 ドクターカーにて病院の外にでて診療を行うことを、病院前救急診療といいますうことを、病院前救急診療といいます。病院院前救急診療の一番の目的は、治療をできる限限り早く開始することです。そのためには、何より患者さんの側に早く辿り着くことが重要です。病院から遠くの場所で病院前救急診療が必要となった時には、早く移動できるドクターヘリが有効であることは想像しやすいと思いますが,宮崎市内では状況が異なります。宮崎市内中心部はドクターヘリの着陸場所が限られています。さらに着陸場所から現場までの移動も必要になり、思った以上に時間がかかってしまいます。そのため、宮崎市内中心部は、多くの場合、ドクターカーで現場まで行くことの方が早く、診療を早く開始できる可能性が高まります。

 実際、この2014年4月〜2015年3月までの1年間では、病院から出動して患者さんにお会いするまでに要した時間は約8分でした。一緒に出動した救急車よりも先に現場に到着する場面もありました。

 ドクターカーは、この1年間(〜2015年3月23日)で266件出動しました。その中には、心臓も呼吸も停止している方で、現場から治療を行い、心臓が動き出した後に、県立宮崎病院に搬送し、治療後に歩いて退院頂いた患者様もいらっしゃいます。間違いなく県立宮崎病院のドクターカーは、現場から早期治療を行うことで、救命率の改善や苦しさ・痛みなどの症状の軽減に、効果を発揮しています。

ドクターカー

 最後にお願いがあります。緊急走行の際には、交通安全に十分注意しながら走行しておりますが、ドクターカーを見かけた際には、私たちが少しでも早く患者様の元に辿り着けるように、県民の皆様のご協力を何卒宜しくお願いいたします。

 県民の皆様の命と笑顔を守るためにドクターカーは今日も走ります!

 

スタッフ
平成27年1月 日本救急医学会 救急科専門医指定施設認定

病棟紹介

NICU・新生児センター

8階西病棟スタッフ

 新生児センターはベッド数12床 医師3名 助産師・看護師24名で小さな命を守り育てるために24時間体制で入院を受け入れています。
 入り口では季節感を取り入れたかわいいキャラクターがお出迎えしています。
入院中は赤ちゃんの成長や発達を妨げないようにディベロップメンタルケアを取り入れ音や光、急なタッチングで赤ちゃんにストレスを与えないように常に気をつけています。
 保育器の中で過ごす赤ちゃんにはお母さんのお腹に似たような環境を作り、赤ちゃんが安心して過ごせるよう調整しています。赤ちゃんの状態が安定したら安心して自宅へ帰れるように育児練習を行い、状態に合わせて保健師への訪問依頼をしています。

NICUのスタッフは赤ちゃんの成長を心から願い毎日愛情こめてお世話しています。

6階東病棟

8階西病棟スタッフ

 6階東病棟は、耳鼻科25床・整形外科15床・皮膚科
10床の病床数50床の混合病棟です。
医師は、耳鼻科2名・整形外科8名・皮膚科2名、看
護職員は看護師24名・ナースエイド5名・クラーク2名
です。
 各科で手術やリハビリ、化学療法や放射線治療、創傷処置を受けられる患者様のケアを行っています。短期入院の患者様から長期入院の患者様まで様々です。各科において多職種でカンファレンスを行い、患者様ご家族の思いに寄り添いながら関わっています。

 患者様やご家族に安心して治療を受けていただけるように、心のこもった医療の提供に努めてまいります。

診療科紹介

栄養管理科

 栄養管理科は、内科医師を部長とし、管理栄養士7名、給
食委託業者42名で構成されており、入院患者様へ食事を通した栄養管理を行っています。
 当院では、それぞれの病態に合わせた食事を、1日約1,000食提供しております。食事が食べられない方には、管理栄養士が患者様のベッドサイドへ訪問し、お話をうかがうなど個別に対応しています。
 入院中のお食事は、季節感を楽しんでもらうために、お正月やひな祭りなどの『行事食』、食事に制限が無い患者様を対象に、週3回(水木金)の朝食・昼食のメニューが選べる『特別メニュー食』を提供しています。
 また、管理栄養士は入院患者様に対し、栄養管理計画書の作成を通して栄養状態を把握し、定期的に評価しながら、栄養状態を改善かつ良好に保つように努めています。さらに、栄養サポートや緩和ケア、褥瘡対策などのチームに参加し、多職種と協力しながらチーム医療の一員としての活動も行っています。
 そのほか、入院・外来患者様には、医師の指示に基づき、それぞれの病態に合わせた栄養指導を実施しています。毎週月・水曜日は糖尿病教室、毎週第2木曜日に腎臓病教室も開催していますので、対象の患者様にはぜひご参加ください。
 今後も、栄養管理科の理念である『安全でおいしい食事の提供』と『治療効果の高い栄養管理』を目指すため、スタッフ一丸となり、日々業務に励んでいきます。

ご存じですか? 食中毒予防の三原則

  1. 清潔 細菌をつけない
  2. 迅速 細菌を増やさない
  3. 加熱、冷却 殺菌または菌を増やさない

食中毒予防の三原則を守りましょ。
食中毒事故は、食中毒予防の三原則を守ることで防げます。

食中毒予防の6つのポイント
  • 食品を取り扱う場所、設備、器具は清潔第一です。
  • 服装や手指の洗浄消毒が大事です。
  • 材料の汚れはよく洗いましょう。
  • 食品は、冷蔵庫で10℃以下に保存しましょう。
  • 食品は十分加熱し、出来るだけ早く食べるようにしましょう。
  • 加熱調理した食品を保存するには、早く冷やして10℃以下で保存しましょう。

入院支援センターご紹介

 入院支援センターは、平成25年4月、外来の一部改築に伴って新設されました。患者さまに入院についての理解を深めていただき、外来や病棟と連携して入院環境を整える役割を担っています。現在は看護師長1名(外来師長)、副看護師長1名、看護師2名、医事課職員3名のスタッフが所属しています。
 主な業務として、入院のご案内(パンフレット)説明、クリニカルパス説明、転倒転落リスク評価、術前呼吸訓練指導などを行っており、医事課職員は入院医療費や高額療養費の説明を担当しています。個室でゆっくりと説明していますので、プライバシーが保たれ患者さまにも好評をいただいております。
 昨年からは、薬剤部の協力を得て患者さまの持参薬鑑別を導入しました。手術や検査の前には休薬が必要な薬があります。その薬を事前に確認し、適切に調整することで安心・安全な入院につながるようにしています。当院を受診される際はぜひ、かかり付け医のお薬やお薬手帳の持参をお願い致します。
 また、入院支援センターでは、患者さまやそのご家族の色々なお悩みに対応できるよう、各専門的看護師(リソースナース)が毎日、患者さま相談室を開設しています。

 現在は、感染看護、皮膚排泄ケア、救急看護、がん化学療法看護、糖尿病看護、リエゾン精神看護、地域連携看護、緩和ケア、認知症看護、摂食嚥下障害看護の10領域の専門グループが日替わりで相談室を担当しています。院内放送で開設時間をお知らせしていますので、どうぞお気軽にお立ち寄りください。みなさまの御利用をお待ちしております。

入院支援センター

 

エキスパートナースご紹介

糖尿病看護認定看護師 久保 絢子

糖尿病は怖い病気?

 糖尿病予備群を含めた糖尿病人口は、2,050万人とされ、国民の5人に1人が該当します。糖尿病は自覚症状に乏しく、気づいた時には神経や眼、腎臓・心臓・脳に大きな合併症を引き起こす病気です。これらの合併症は生活の質(QOL)を大きく損ねる可能性があり、早い段階で糖尿病の予防・進展の阻止のための治療と療養が必要となります。

認定看護師の役割とは?

 患者さんが慢性疾患である糖尿病と上手に付き合っていけるように「生活の場=治療の場」であることを重視し、一人一人の患者さんにあったテーラメイドのセルフケア方法をともに考え、支援する事だと思います。

活動のなかで目指すもの

 糖尿病患者さんに対しては、食事や運動、インスリン療法、フットケア、合併症に対する治療など栄養士、薬剤師、理学療法士など多職種による支援が必要です。
 また内科、皮膚科、歯科口腔外科など様々な診療科が連携して治療することが望まれます。当院は様々な診療科を持ち、多職種が患者に支援することができる総合病院です。
 多職種が専門スキルを用いて糖尿病患者さんを支え続けることができるチーム医療を目指していきたいと思います。

ちょこっと豆知識

 食事を食べ始めてから約20分で満腹中枢が刺激され始めます。「腹八分目」の習慣づけのためにはゆっくり噛んで時には箸を休めて20分以上かけて食事をするとよいですね!

話題のダニを介した感染症

 野外でダニに咬まれて発症する病気は代表的なものとして、ツツガムシ病、日本紅斑熱という感染症が挙げられ、県内でも少なからず毎年報告されており、ご存じの方もいらっしゃると思います。加えて最近、重症熱性血小板減少症候群(SFTS : Severe Fever with Thronmocytopenia Syndrome)というマダニに咬まれて感染するウィルスによる病気が国内でも発見され話題となっています。
 ツツガムシ病と日本紅斑熱はリケッチアという微生物による病気でツツガムシ病はツツガムシというダニ、日本紅斑熱はマダニを介してヒトに感染します。発生時期はツツガムシ病では秋から初冬、日本紅斑熱は春から秋にかけて多いとされます。 症状は似ており、ダニに咬まれて数日後(ツツガムシ病:2-8日後、日本紅斑熱:5-14日後)に発熱を伴って発症します。症状は発熱、発疹そして特徴的なダニの刺し口(写真)が主要な3徴候とされています。診断は抗体検査、病原体の遺伝子検査で判断され、治療としては有効な抗菌薬がありますのでより早く診断して治療することが大切となります。
 次に、今話題の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)についてのお話しです。この病気は2011年に初めて中国で報告され、2013年には国内でも1例目が報告されたウィルスによる感染症です。発見されたのは最近なのですが、ずっと以前から日本に存在していた感染症と考えられています。現在(2015年2月)までに西日本の13県から症例の報告があり、宮崎県は愛媛県に次いで全国で2番目に多く報告されています。40歳以上の壮年・高齢者で5月をピークとした春先から初夏にかけて発症するケースが多くなっています。この病気はSFTSウイルスを持っているマダニに咬まれてから1~2週間後に発症し、症状は発熱、全身倦怠感、消化器症状(食欲低下、嘔気・嘔吐、腹痛、下痢、下血など)が中心で、血液検査では白血球と血小板の減少、肝機能等の異常を認めます。診断は抗体検査、SFTSウイルスの遺伝子検査です。現時点では有効な治療法はなく、自然に軽快する方から、残念ながらお亡くなりになる方まで様々です。
 以上、ダニを介した感染症についてお話しいたしました。上記の感染症は、たまたま病原となる微生物を保有しているダニに咬まれて、それら微生物が体内へ入ることで発症することがあるということで、ただ単に野外でダニに咬まれたということだけで病気になるのではありません。
 重要なことはできる限り野外でダニに咬まれないようにすることと、ダニに咬まれて数日後~2週後あたりから熱が出て、発疹や下痢などの消化器症状が現れた場合は医療機関を受診することです。野外活動を行うときは腕・足・首など肌の露出をできる限り少なくしましょう。蚊に刺された時と異なり、ダニに咬まれても痒みなどないために気付かないことも多いので、野外活動した後は入浴時などにダニが付いていないか全身をくまなく確認しましょう。
 さらに詳しく情報を知りたい方は、宮崎県、厚労省や国立感染症研究所のホームページもご覧になってください。

マダニの一種(フタトゲチマダニ)、ツツガムシの刺し口

編集後記

 今回のトピックのひとつは、「ドクターカー」です。平成26年4月14日から運行が開始され、今年の3月23日で、266回の出動があります。救急患者さんへのより迅速なアプローチが可能となっており、今後、ますますニーズが高まっていくと思われます。救急スタッフの方々の奮闘に頭が下がります。街中では、救急車、ドクターカーと連れだって走行する事も多く、歩行者、ドライバーの方々とも、交通状況に十分にお気をつけいただくようお願いする次第であります。

神経内科 湊 誠一郎

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